ネットワーク運用とソフトウェア開発
クラウドサービスが主流となった現代において、データセンターの選定基準や運用方法は大きく変化しています。これまで東京や大阪に集中していたデータセンターですが、ネットワーク品質やコスト面を考慮すると、“地方拠点”という選択肢も現実的になっています。 国内外でネットワーク運用を手がけるパープルコンピュータ株式会社は、通信の安定性と固定費削減の両立を目指し、ミテネインターネットが提供する「ふくいデータセンター」を採用しました。導入前に実施した事前検証によって回線速度に対する不安は払拭され、現在では安定した運用を実現しています。
同社代表取締役の島田寛史様に「ふくいデータセンター」導入の背景や決め手、そして今後の展望について伺いました。
2008年に設立されたネットワークの設計・構築・運用を主軸とするIT企業。本社を茨城県に構え、東京・福井・博多・那覇・カリフォルニアといった国内外に拠点を展開。拠点間を分散させたチーム体制を活かし、高い効率性と柔軟性を兼ね備えたネットワーク運用を実現。
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島田様:データセンター選定にあたっては、大きく3つの課題がありました。まず1つ目は回線速度です。拠点先の通信環境によっては、通信の遅延が発生するリスクがありました。2つ目はコスト。やはり東京や大阪など、都市部のデータセンターは高額で、運用コストがかさんでしまいます。3つ目は拠点の最適配置です。当社は海外にも拠点があるため、日本国内のどこに設置するかは非常に重要なポイントでした。
島田様:取引先の代表や担当者とのご縁があり、「ふくいデータセンター」を紹介していただいたのがきっかけです。一般的には東京や大阪に拠点を設ける企業が多いのですが、当社は海外にも通信拠点を持っているため、地理的に中央に位置する福井が最適だと判断しました。福井には東京経由・大阪経由の両方の通信経路があり、遅延の観点でもバランスが取れています。「ふくいデータセンター」は、まさに当社の要件に合致していました。
島田様:名古屋方面も検討しましたが、通信条件があまり良くありませんでした。その点、ミテネインターネットさんは、適切なインターネットエクスチェンジとの接続があり、複数の経路を持っているという点が魅力的でした。
島田様:通信品質についてはやはり不安ではありました。そこで、導入前にクラウド環境(miteneCloud)を活用し、事前検証を実施しました。1週間にわたって仮想マシン上で回線速度や安定性をチェックした結果、問題がないことを確認できたのは大きな成果です。「福井で本当に大丈夫だろうか」という懸念は、すべてこの検証によって解消されました。
島田様:本番環境の構築前に仮想マシンを用いて綿密な検証を行い、その後ミテネインターネットさんの技術者と綿密なディスカッションを重ねながら導入を進めました。優秀な技術者が直接対応してくれたため、意図が正確に伝わりやすく、齟齬のない導入が可能でした。
島田様:導入から数ヶ月が経過しましたが、通信の安定性とコスト削減という当初の目的は、すでに十分に達成できています(2025年3月現在)。また、東京や大阪と比較して月額で10万円以上の差があり、固定費は約半分になりました。通信速度についても、東京に引けを取らない安定性を実現しています。
島田様:一番大きかったのは、ネットワークオペレーションセンター(NOC)を自社で運用している点です。多くのデータセンターでは外注のオペレーターに任せているケースが多く、運用の継続性や柔軟な対応という面でどうしても限界が出てきます。その点、「ふくいデータセンター」はネットワークをきちんと理解している技術者が対応してくれるため安心感がありますし、細かい調整にも柔軟に応じてもらえるのは非常に大きなメリットだと感じています。
島田様:“地方にあるから不便”という印象を持つ方もいるかもしれませんが、実際に使ってみると「できない理由」はまったく見当たりません。クラウドとオンプレを併用するハイブリッド型の運用が広がる今だからこそ、福井のような地方拠点の価値はますます高まっていくと思います。
島田様:通信環境を最重視する企業にとって、ふくいデータセンターはとても魅力的だと思います。クラウドサービスは柔軟性が高い反面、年間を通してまったく問題が起きないというケースはほとんどありません。加えて請求明細が複雑で、コスト管理が難しいという課題もあります。
そうした意味で、クラウド一辺倒から、一定程度オンプレミスへ回帰する企業が最近は増えている印象です。通信の安定性とコストのバランスを求める企業、特に一定規模以上の企業であれば、自社でインフラを持つという選択肢が再び現実的になってきています。
実際、「ふくいデータセンター」は東京と比べてもコスト削減が可能ですし、通信品質も東京に引けを取りません。
また、IT部門の人手が限られている企業にも向いています。当社のように少人数体制でも運用できているのは、技術者と直接コミュニケーションを取りやすく細かい相談にも応じてもらえる体制があるからです。営業担当を介したやりとりではなく、技術者が前面に出てくれるというのは大きな安心材料ですね。
島田様:ラック間の接続や、他のデータセンターとの連携をさらに強化していきたいと考えています。また、遠隔からの作業がよりスムーズに行えるようになることで、利便性のさらなる向上も期待しています。
島田様:先ほどもお話ししたように、クラウドにおける障害の多さやコスト構造の複雑さを踏まえると、今後はクラウド一辺倒ではなく、ハイブリッド型の運用が主流になっていくと考えています。その中で、福井のような地方拠点は「安定性」という観点から、非常に有力な選択肢になると確信しています。
現在、国内では福井、海外ではカリフォルニアにデータセンターを構えていますが、今後はアジアやヨーロッパにも拠点を拡大していく予定です。その中でも福井は日本国内の中核拠点として、引き続き継続的に活用していきたいと考えています。